頭部外傷により、脳の表面(硬膜下)にできる血腫
交通事故、スポーツ、転倒など、何らかの理由によって頭部に外傷を受けた場合、脳と硬膜を繋ぐ静脈に断裂が起こり、硬膜下に血液が溜まって発症する。受傷直後に異常がなくても、その後に意識障害が出現し、急速に悪化することもある。その場合の予後は極めて悪く、高次脳機能障害(失語、失行、失認、人格の変化など)が残る例が多い。脳損傷、脳挫傷、くも膜下出血をしている場合も、予後は悪い。
症状
●強度の頭痛 ●嘔吐 ●麻痺 ●意識障害 ●言語障害 ●瞳孔の大きさが左右で異なる(瞳孔不同)
治療法
緊急手術:第一選択の治療法、局所麻酔を用いて頭蓋骨に穴を開け、血腫を吸引する
漢方薬:術後や手術不可の場合に投与することがある
リハビリテーション:後遺症による生活障害、高次脳機能障害に対して行われる
高齢者には注意が必要です!
①若年者に比べ、ゆっくりと症状が現れるため見逃されやすい
②転倒が発症につながるため、転倒予防のための住宅環境整備を行い、歩行に困難がある人にはとくに注意を払うようにする
アセスメントのポイント
●自宅復帰後の生活機能の自立の程度はどうか
●後遺症とそれが及ぼす生活機能の制限はどうか
●再発の可能性は?
今後の見通しと支援
脳の損傷の程度により、予後や生活機能の自立の程度が変わります。慢性硬膜下血腫よりも失語症、失認、失行など重度の高次脳機能障害後遺症が残る可能性が高い疾患です。
日常生活の留意点
●手術後に新たな血腫が現れることもあり、医療との連携により経過観察が重要となります。定期的な受診または往診を位置づけます
●後遺症として認知機能低下が長期に継続する場合は、介護保険の「特定疾病」の対象となります
●生活機能障害が生じた場合には、専門職によるリハビリテーションが必要です
●慢性硬膜下血腫と同様、転倒予防が重要です
医療連携のポイント
●どのような症状が現れたときに受診するか、などの情報の共有を図る
副作用・治療の影響
●抗凝固薬の服用中は注意が必要
使える制度
●障害が残った場合:精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳、障害年金