COPDとは、Chronic Obstructive Pulmonary Disease(慢性閉塞性肺疾患)の頭文字をとったもので、長期間の喫煙習慣によって引き起こされる肺の「生活習慣病」です。
●肺のしくみとCOPD
肺のなかで、気管支は細かく枝分かれしその先端は肺胞といって、図Aのように、きれいに半円球が集まった形をしています。ところが長年の喫煙習慣で隔壁(半円球同士の境)が壊され、図Bのように肺胞の形が崩れ半円球がいくつも融合したようになるため、肺胞内に空気が充満して肺全体が膨らんだままになります。こうなると、自然な呼吸では息を吐き出すのが難しく、気がつくと口をすぼめて息を吐き出すようになってきます。
このように、タバコの煙に含まれる有害物質によって、空気の通り道である気管支が炎症を起こして狭くなったり酸素を取り込む肺胞が壊されたりして、吸った空気から酸素が取り込みにくく二酸化炭素が出て行きづらい状態になります。これがCOPDです。
年齢とともに息切れや疲れ、だるさなどの症状となって現れ、ひどくなると、息苦しく人工呼吸器がないと生活できなくなります。男性では死因ワースト8位に入り、年間男女合わせて1万5,000人近くがこの病気のために亡くなっています(厚生労働省「人口動態統計」)。
思いあたることはありませんか?
・風邪でもないのに咳や痰がつづく
・痰が粘ついたり、膿が混じったように見える
・呼吸するとき、ゼイゼイしたり、ヒューヒューいう
・朝方に頭痛がする
・坂道で息切れを感じる
・歳のわりに疲れやすい
呼吸機能の検査を受けたことがありますか?
スパイロメーターという器械で「努力肺活量(息を最大限に吸って、強く吐き出したときの息の量)」と1秒量(最初の1秒間で吐き出せる息の量)」を測定します。
1秒率(%)=(1秒量÷努力肺活量)×100<70%
この式で計算される1秒率が70%未満の場合、COPDの可能性があると考えられます。必要に応じて胸部レントゲン検査やCT検査、動脈血中酸素量の測定などを行い、COPDの診断が確定します。
禁煙にチャレンジ!
COPDの90%は喫煙が原因といわれています。タバコを止める自信のない方は禁煙外来で相談してみることをお勧めします。また、家族に喫煙者がいたら、下のCOPDの動画を一緒にご覧になられてはいかがでしょうか。職場やご近所、サークルなどで禁煙・分煙を働きかけ、COPDで苦しむ人を1人でも減らす力になってください。