高齢者施設などで集団発生することもある感染性皮膚疾患

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニ(疥癬虫)と呼ばれるダニが皮膚表面の角質層に寄生して起こる感染症。肌と肌が直接触れることで感染するため、これまでは性行為に伴う感染が多かったのですが、近年は高齢者の介護行為などを介して感染し、施設内や家族内で流行することがあるので問題になっています。
潜伏期間は1~2か月で、発症すると激しいかゆみを生じる。通常の疥癬と、かゆみは少ないが感染力の強いノルウェー疥癬(角化型疥癬)の2種類。ノルウェー疥癬に対しては隔離が必要で、状況によっては入院することもある。人から人へ直接感染するほか、寝具やタオルを介して感染することもある。

症状

【通常疥癬】●激しいかゆみ ●疥癬トンネル(ヒゼンダニが皮膚表層にトンネルを作り散乱する) ●紅斑性小丘疹(胸腹部、腋下) ●結節(外陰部)
【ノルウェー疥癬】●皮疹(灰色から黄白色) ●牡蠣殻のような角質増殖(手・足・臀部)

治療法

薬物療法:飲み薬や塗り薬でヒゼンダニを駆除
手洗い&清掃:感染を防ぐため
消毒:50℃、10分で死滅する
予防衣&手袋:感染力の強いノルウェー疥癬の場合に使用

高齢者には注意が必要です!

①認知症や意識障害のある人は、薬を塗った部位や指を舐めないように観察が必要
②通常1~2か月で完治するが、高齢者は長引くことがある

 

アセスメントのポイント

●免疫力を低下させる基礎疾患はあるか
●全身状態はどうか
●清潔を保つために必要なことは何か

今後の見通しと支援

通常の疥癬は、感染してから2週間から1か月の潜伏期間のあとに発症。ノルウェー疥癬の潜伏期間は7日間前後と短い。特にノルウェー疥癬は感染しやすいので、感染を広げないための対策が重要。

日常生活の留意点

● ノルウェー疥癬は、一定期間の個室管理が必要。接するときは、手袋を着用。落屑(らくせつ)※にも直接触らないように注意。
●ノルウェー疥癬は、衣類や寝具の交換時はすぐビニール袋に入れ、他の衣類と分けて洗濯。
● ダニは50℃以上で死滅するので、洗濯の際に熱湯をかけるのも効果的。また日光に十分当てることも駆除に有効。
●通常の疥癬では、短時間の接触での感染の心配はなく、個室管理の必要もない。
●日常生活上の制限はなく、入浴も可能。
※患部からはがれ落ちた皮膚片

医療連携のポイント

●治療方針の確認

副作用・治療の影響

虫体や卵が生存している間は副腎皮質ステロイド剤は使用しない。

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