抗菌薬が効かない菌のため、除菌が困難な疾患

発生頻度は年間で10万人に1~2人程度で、比較的男性に多い疾患。頭部外傷から1~2ヶ月程度経過し、その間に硬膜下の血腫が大きくなり、脳を圧迫して症状を引き起こす。
外傷以外には、長期の飲酒による肝機能障害によるもの、脳梗塞・硬膜下水腫・不整脈・人工透析などに際して投与される抗凝固薬や抗血小板薬(血が止まりづらくなるため血腫ができやすい)などによるもの、水頭症に対するドレナージ時の減圧によるもの、などが挙げられる。
適切な処置が行われれば予後は良好。ただし、術後1ヶ月前後の時期に再発することも多いため、特に注意が必要である。

 

症状

●意識障害 ●言語障害 ●急激な認知機能の低下 ●記銘力の低下 ●精神症状(抑うつ) ●意欲減退 ●失語症 ●手足の麻痺●頭痛 ●吐き気 ●てんかん

 

治療法

血液の排出:血腫がある部分の頭皮を切開し、チューブで溜まった血液を吸い取る(穿頭ドレナージ術)
血腫の洗浄:ドレナージ中、同時に生理食塩水で血腫を洗浄する(穿頭洗浄術)こともある

 

高齢者には注意が必要です!

①比較的高齢者に多く、認知症やうつ病と似た症状を呈するため、画像診断などにより、早期の確定診断が必要である
②リスクとなる抗凝固薬や抗血小板薬の服用がないか確認する

 

アセスメントのポイント

●再発リスクの高い合併症などの有無
●移動動作の確認
●室内状況(特に段差の有無)の確認

 

今後の見通しと支援

手術で早期に血腫を取り除けば、予後は比較的良好で、認知障害や麻痺などの症状も軽快します。生活機能の程度に応じたリハビリテーションの継続、生活指導、転倒予防が重要です。

 

日常生活の留意点

●転倒した場合、1~3ヶ月で症状が現れます。急に言動がおかしくなった、軽い麻痺の出現、歩行障害が出てきた場合などに疑います
●過度の飲酒、脳萎縮、歩行障害により転倒しやすい人、血液透析患者、抗凝固薬を服用している人などは、発症リスクが高いので注意が必要です
●住宅内の段差の解消や手すりの設置で、転倒を防止します
●カーペットのめくれや電気コードも転倒の原因となるため、室内の整理整頓を心がけます

 

医療連携のポイント

●認知症やうつ病との症状の違い、区別について医療職から情報を得て、担当者間で共有

 

副作用・治療の影響

抗凝固薬を服用していると、血液が止まりにくく、発症・再発リスクが高くなる

 

使える制度

●障害が残った場合:精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳、障害年金

 

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