どんな病気か?
50歳以降に発症することが多い病気ですが、40歳以下で発症する場合もあります。特徴的な症状としては、手足が震える、筋肉がこわばる、動作が遅くなる、歩きづらくなる、などです。徐々に症状が進行し、十数年後には寝たきりになる方もいます。
1,000人に1人~1.5人、60歳以上では100人に約1人の割合で患者様がいます。高齢者の患者様が多いので、人口の高齢化に伴い、患者様の総数は増加しています。日本全国では、10万人以上の患者様が存在するといわれています。治療薬が研究開発されたおかげで、現在のパーキンソン病患者の平均寿命は、全体の平均とほぼ変わらないと考えられています。
発症する原因
脳内にあるドーパミンという物質を出す細胞が減少することで引き起こされます。ドーパミンが減少する原因は、現在のところ不明です。
具体的な症状
発症すると、50歳過ぎごろから手足の震えが目につくようになり、それとともに四肢の筋肉が固くなります。筋肉が固くなってしまうと関節の動きも円滑ではなくなり、無理に動かすと歯車のようなガクガクした動きになります。運動の速度・量は低下し、じっとしている傾向が目立ちます。
この「手足の震え(震戦)」「筋肉のこわばり(固縮)」「動きが乏しくなる(無動)」「バランスが悪くなる」という4つの症状がパーキンソン病の特徴で、ゆっくりと進行するのが普通です。
これらの症状に伴い、無表情になる、声が低くなる、言葉が不明瞭になる、字がうまく書けなくなる(小字症[しょうじしょう])、動作の開始が遅くなる、姿勢を保つことが困難になる、歩きにくくなる、といった状態に陥ります。
パーキンソン病の症状は、一般的に体の片側から始まる場合が多く(1度)、1~2年で両側(2度)、その後バランスが悪くなり(3度)、進行すると介助なしでは日常生活ができなくなり(4度)、ついには寝たきりになる(5度)こともあります。
歩行時の一歩目が出にくくなり(すくみ足)、歩幅も小さくなります(小きざみ歩行)。全体に動作が遅くなり、方向転換や寝返りが苦手になります。歩いているうちに足が体に追いつかなくなり、姿勢の反射も障害されているために前のめりの姿勢を立て直せずに転倒することもあります。
その他、おでこや頬が脂っぽくなります。便秘や頻尿、発汗、疲れやすい、立ちくらみ、嗅覚低下、気分が晴れない、興味が薄れたり意欲が低下するなどの症状も現れます。一般的に知能は正常に保たれます。しかし、40歳前に発症する若年性パーキンソン病や、70歳を過ぎてからの発病もあります。病気の進行状態は、比較的早い場合もあれば、10年以上経ってもあまり悪化しない場合もあります。
備考
・病状の進行とともに、立ち上がりや歩行時には転びやすくなりますので、日常生活では転倒による骨折をしないことが、パーキンソン病の経過においてとても大切です。
・転倒の危険を防ぐため、手すりの設置や段差解消、浴室など滑りやすい場所に注意する必要があります。誤嚥して肺炎を起こしたり、便秘になって腸閉塞(ちょうへいそく)を起こすことがあります。
・対処法としては、運動、睡眠、食事、薬の組み合わせが基本です。運動は健康を維持する上で必須です。激しい運動ではなく、散歩やストレッチをお勧めします。散歩は1日8,000歩を目安にできると好ましいですが、患者様の体調に合わせましょう。
・薬の効果が切れる「オフ」の状態(薬の効果が短くなる、効果が現れたり切れたりする)で事故(入浴中の溺死など)が起こる場合があります。
・薬の効き方を日々モニタリングし、服用方法を医師と検討し、食事や入浴時に効果が現れるようにしましょう。また、薬物効果に合わせた生活リズムを作る必要もあります。
・ストレッチは姿勢の維持に役立ちます。患者様は前かがみや斜め横になる姿勢が起こりやすくなります。自分ではまっすぐと感じる姿勢が、実際には斜めになっていることが少なくありませんので、できるだけ鏡を見て姿勢を良くしましょう。自分では大丈夫と思っていても転倒が起こりやすいので、つまづくようなものは片付け、早めに手すりを付ける必要があります。
・寝たきりになると、呼吸器や循環器の機能低下、感染、床ずれが生じやすくなります。