予備軍を含め、わが国では患者数2,000万にも及ぶ代謝性疾患
血糖を抑制する作用のあるインスリンが膵臓(すいぞう)から分泌されなくなったり、はたらき自体が衰えたり(インスリン抵抗性)することによって高血糖状態が持続する疾患。
ウイルス感染などによるⅠ型糖尿病と、食生活や運動不足、肥満、加齢などが原因とされるⅡ型糖尿病に大別され(大半がⅡ型)、多様な合併症を引き起こす。
症状
【初期症状】自覚症状がほとんどない
【中期症状】●多尿・頻尿 ●喉の渇き(口渇) ●疲労感 ●足がつる ●傷が治りにくい ●できものができやすい
【進行期症状】●白内障 ●手足の壊疽 ●尿毒症(Ⅰ型)●昏睡 ●意識障害(Ⅱ型)●糖尿病性網膜症 ●糖尿病性神経障害 ●糖尿病性腎症
治療法
薬物療法:インスリンの分泌を促したり、インスリン抵抗性を改善する薬剤、糖の吸収を阻害する薬剤などが用いられる
インスリン注射:Ⅰ型には必須。Ⅱ型の場合でも食事、運動で改善がみられなければ行う
運動療法:肥満の解消と血糖値の改善を目的とする。ウォーキングや水泳が選択されやすい
高齢者には注意が必要です!
①加齢のためインスリン作用、腎機能が低下しやすい一方、生活改善には抵抗が強い場合があるので注意を要する
②動脈硬化が進行しやすく、合併症も多い
アセスメントのポイント
●本人によるインスリンなどの自己管理が確実にできているか
●糖尿病による合併症はあるか
●運動や食事の管理ができているか
今後の見通しと支援
数年の経過で徐々に進行します。罹患が長期になると、合併症がしばしば起こります。とくにⅡ型では生活習慣を改善し、血糖値のコントロールが適切にできるよう支援することが重要になります。
日常生活の留意点
●薬物治療中は、服薬管理を確実に行います(Ⅱ型)
●食事は決まった時間に三大栄養素をバランスよく摂ります
●運動を生活のなかに取り入れます。1回15~30分、週3回以上など目安を定めます(必要に応じ、医師に確認)
●シックディ(風邪や下痢、熱、腹痛、食欲不振、外傷や骨折などの病気にかかっている状態)では、急性合併症にかかることもあります
医療連携のポイント
●低血糖時、シックディの対応
●血糖の目標数値
●合併症に伴う必要なケアについて情報を得ておく
副作用・治療の影響
血糖降下薬やインシュリン投与時には、不適切な食事や普段より強い運動などにより、低血糖症状(発汗、動悸、手足のふるえ、けいれん、昏睡など)が出ることがある
使える制度
●三大合併症の場合:介護保険の特定疾病
●人工透析の場合:特定疾病療養受領証(医療費助成)、障害者総合支援法(自立支援医療、日常生活用具)
●合併症の障害の程度により身体障害者手帳、障害年金