脳血管障害の75%を占める、脳細胞の壊死を誘発する疾患
脳梗塞とは、脳の血管が詰まり何らかの原因で脳の血のめぐりが正常の5分の1から10分の1くらいに低下し、脳組織が酸素欠乏や栄養不足に陥り、その状態がある程度の時間続いた結果、その部位の脳組織が壊死(えし)してしまったものをいいます。
細かい血管が詰まるラクナ梗塞、太い血管が詰まるアテローム血栓性脳梗塞、心臓や頸動脈にできた血栓が循環してきて脳血管が詰まる心原性脳塞の3つに大別されます。また、前兆として、一時的に脳血管が詰まり、24時間以内に詰まりが消失する一過性脳虚血発作(TIA)が、脳梗塞患者全体の3割にみられる。原因としては、高血圧、糖尿病、脂質異常症や飲酒、喫煙などが挙げられる。
症状
●めまい ●ふらつき ●構音障害(舌がもつれるような発音) ●視力障害(片方の視力消失、物が二重に見えるなど) ●片手・片足、顔半分の麻痺やしびれ
治療法
薬物療法:発症3時間以内に対処し、その後も抗凝固薬を投与
生活指導:水分摂取、減塩、減カロリーなどで再発防止
運動療法:医師の運動処方により実施
高齢者には注意が必要です!
①喉の渇きが感じにくいため、脱水を予防するために意識的に水分補給
②高齢者に多い心原性脳塞栓は、心房細動によって形成された血栓が原因。心臓に現れた症状でも注意が必要
アセスメントのポイント
●再発の危険因子となる疾患がないか
●服用薬について確認
今後の見通しと支援
再発すると、麻痺などの後遺症が段階的に重くなります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動(脳塞栓の場合)が発症の危険因子となるため、医師の指示に沿った生活指導、薬物療法、運動療法により生活機能の改善と再発予防をしていきます。
日常生活の留意点
●禁煙のおすすめ。喫煙は高血圧や脂質異常症のリスクを高めます。
●ビタミンKを含む薬(骨粗鬆症薬など)や食品(とくに納豆、青汁など)は薬の作用を弱めるため、抗凝固薬を服用中は避ける必要があります。
●定期的な水分補給が大切です。脱水症状になると血液の流れが悪くなり、血液の粘度が増して血管が詰まりやすくなるからです。
●歩行補助用具などの福祉用具の利用、手すりの設置などの住宅改修で、自力で動ける範囲を拡大するようにします。
医療連携のポイント
●リハビリテーションの評価
●薬剤の相互作用などの確認
副作用・治療の影響
抗凝固薬や抗血小板薬の服用で出血傾向が高まる。抜歯などの際は服用を止めることがある。
使える制度
介護保険の特定疾病、身体障害者手帳、障害年金